リキッドレイアウトうんぬんに思った

最近いくつか読んだ、リキッドレイアウトうんぬんの記事について思った。
「サイトの横幅」再論:950px時代のウェブデザイン
具体的なデータを挙げられていてとても参考になりました。
まず最初に、僕は固定幅だろうがリキッドだろうが、サイトの形態・対象ユーザ・トレンドに則した形で臨機応変に幅をデザインすることこそ至上と思っています。…が、その前提の上で自分個人は固定幅の方が好きです。
デザインが組みやすく、目を動かす距離が少なく疲れにくいので。

まず、オトナの都合

Web屋として生きる上で商売としての都合なのですが、実務レベルではリキッドレイアウトより固定幅の方が好まれます。
画像や文字などの要素がモニタサイズやウィンドウ幅一つで位置が異なってしまうと、それだけで「ズレている」と電話がかかってきますし、サイトを印刷したら表示位置が変わったなんてのもトラブルになりやすいです。
結局のところ環境による見た目の相違を無くす意味で固定幅が楽というのはあるのですが、そういったリスクヘッジ的な意味だけではなく、CIの観点からもあまりグニャグニャ変わるのは好ましく思われず、「当社はこうである」といったイメージをしっかり見せるには、やはり固定幅の方が向いているのです。
リキッドはどちらかと言うとWebのみでワンストップしているようなWebアプリに向いています。とは言っても様々な環境で使われ、なおかつ表示の精度も求められる場合は固定幅になります。
ちょっと的を射れた感があったので重ねて使いますが、「表示の精度」が求められる仕事ではリキッドは不向きということです。
受諾制作のWebデザインはDTPと同じくらいに思って良いかも知れません。ボクは結構アバウトですが…

ブラウザ幅の自由度について

幅が固定されていることによって見辛いサイトは間違いなく実在しますが、手法の優劣以前に作った人の技術・意識ともに初級であるというのが相場です。しかしリキッドなら無条件で見易いかというと、当然そんなこともありません。結局のところ、どういったレイアウトを取ろうが作り手の技術と意識次第で変わります。

また「ユーザ側での文字サイズ変更の自由」をリキッドと結びつけているコメントをよく見ます。
考え方そのものは僕も賛同できるのですが、プアなWeb屋でもなければ今時フォントサイズのem(%)指定は前提として言うまでもなく行っていますし(キャンペーン系サイト除く)、固定幅の上でデザインを崩さない文字サイズ可変の対応は難しくありません。こういった技術の引き出しが無いだけで槍玉に上げるのは的外れに感じます。
また現在ではまだまだブラウザレベルでフォントサイズの変更方法を知っている方がマイノリティです。多くの人が自分の携帯の全機能を把握できていないように。
フォントサイズの自由度にこだわる方はサイズ変更機能の事実も知らない人へ向けて、フォントサイズ調整スイッチの設置を勧めます。ブラウザの機能に乗っかるだけがユーザビリティとは言いません。

自分の経験則で、12〜14pt相当のサイズで400px〜500px程度で収めるのが読みやすく感じ、個人的なスタンダードとしています。日本語の読みやすさに関しては「ほぼ日」がかなり参考になります。
ところでリキッドで横幅を突っ切っているようなサイトは、フォントをいくら大きくしても視線を左から右へ動かす距離に変わりはないので、読めはしても目が疲れるんじゃないかなぁ…というのが個人的意見です。

リキッドに向いているサイト

ざっと挙げると

  • ブログ
  • ECサイト
  • SNS
  • その他Webのみで完結するサービス等

これくらいかな?
仕組み的にSNSは向いていると思っていますが、既存SNSを見ても媒体運営しているところはほぼ固定幅ですね。 やはりクライアントに見せる際にモニターと印刷で差異があると面倒ですし、またクリック位置が物理的に不特定になるので、コンバージョンデータもやや精度が落ちるデメリットもあるように思えます。
リストには挙げていませんが、コーポレートサイトに関してはどちらでも良いと思います。
水のように柔軟なCIとも受け取れますし(実際そんな会社ありました)、ハッキリ言えば「お上」がWebの特性を理解しているかどうかが最大のポイントです。

自分のまとめとして

結局のところ固定幅偏重な内容になっていますが…好きなんだからしょうがないじゃないっ!///
それは冗談として、リキッドレイアウトは「見る条件で要素が定位置にない事がある」といった事実の周知理解が進んでいないため、現状では使いどころが限られ、誤解の起こりにくい固定幅の方が扱いやすく無難であるというのが現場の実情です。
最終的に、Webサイトってのは対象のユーザを満足させ、運営者の目的を達成させるのが使命となります。それらを満たせることさえできれば…過程や…方法なぞ…どうでもよかろうなのだァーッ!
ボクの理想は「見た目に美しくユーザビリティアクセシビリティ共に優れコンテンツも充実したWebサイト」ではなく「成功に一役買うor満足を与えられるWebサイト」です。前者は後者に続く一因です。
見も蓋もないオチですが、適したレイアウト手法の選択もリキッドな対応をしたいものです(・∀・)